銀浮き除去のしかた教えます。

こんにちは。



前回、雨に降られた後遺症として

雨シミ

塩浮き

銀浮き

があるというお話をしました。




今回はその内で銀浮き除去が1番ハードルが低いかなということで、まずはその方法をお教えします。



必要な物は1つ。


汚れて良いタオル。

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もしくはキッチンペーパーでもいけるかな、最悪ティッシュペーパーでも大丈夫かも。




これを水に濡らします。


けっこうしっかりヒタヒタに。


で、銀浮きしている箇所に乗せる。

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ただひたすら放置。


その間に水を足しても良いです。

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2030分後。


チッチッチッ、、、ポーン!

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直ってるー!!




と、ただこれだけ。


ね、かんたんでしよ?




でもでも、この方法では直らない靴もあります。



革の質だったり、銀浮きの度合いだったり、直らない原因は1つではないかもしれませんが、そうなったらしょうがない。



プロに任せましょう。



また、他にも注意点ですが、銀浮き除去する際にはできれば靴全体が濡れていることが好ましい、というか濡れていないと濡れタオルを置いた部分と乾いている部分の境目が銀浮きする可能性があるからです。


そうすると結構面倒ですよね。


やっぱりプロに任せましょう。



当店では遠方の方も配送にて承ります。

 


雨に濡れた革靴にはオゾン水クリーニング

前回のブログでは雨に濡れた後の対処について紹介しました。


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ですが、それだけやっても後遺症が残ってしまう可能性があります。


それはそれは恐ろしい

①雨シミ

②塩浮き

③銀浮き

というやつです。


①の雨シミは革の染料が雨によって浮き出して偏ってしまった状態です。

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シミ抜きは技術や経験、事後のケアが必要となりますので、ご自身で直すのはなかなか難しいです。



②塩浮きはクリーナーで拭いただけだと再発することもあり、しっかり根本から断つにはクリーニングが必要です。

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③銀浮き除去はご自宅でもできるかもしれません。(次回の記事にします)

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ですが、下手をすると悪化する可能性があります。



と、まあご自宅での対処はできなかったり自信が無かったり、大事な靴の治療を素人が手を出して悪化させなくない等、イロイロあります。


是非、この3つのいずれかの症状になってしまったら当店にご相談ください。


オゾン水クリーニングもご好評いただいたおります。

是非東京近郊の方以外の方も当店にお任せください。

遠方の方でも配送にて承ります。

雨に降られた後の革靴ケアは

お久しぶりです。


ずいぶん長いこと書いてなかったですが、また少しずつでも書いていこうと思います。


どうせまたすぐ書かなくなると思ってます?


私も思ってます。



さて、そんなことは置いといて、早速ですが昨日のことです。




電車を降りると思いのほか大雨。


幸い傘を持っていたのでホッと一安心。



と思いきや上半身はさほど濡れずにすみましたが、

足元は膝上まで濡れました。




この時期はそもそも雨が多いのはわかっていますが、夏ともなると予定外の雨に見舞われることってありますよね。



ゲリラ豪雨とか。



天気予報では降らないはずだったのに、と。



悪くすると靴の中までずぶ濡れに。


そうなったら脱いだ後の対処が重要です。




①タオルや雑巾で水気を取る

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靴の中にギュッとタオルを詰めて、外からタオルで包んで抑えます。

タオルに水分をなるべく染み込ませるように。


②陰干し

直射日光には当てないでください。

革が傷みます。


③ある程度乾いてきたら

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まだ少し湿っている段階でデリケートクリームを塗る。内側にも隅々まで。


デリケートクリームは靴の中が完全に乾くまで何回か入れると尚良しです。



この段階でシューツリー、もしくはシューキーパーを入れて型崩れを防いでください。革は乾くと縮みます。


新聞紙などでは革靴が変形する力に負けてしまうのですが、シューキーパーを持っていない方は買うまでの間は新聞紙でも入れないよりマシです。


④完全に乾いたら通常のシュークリームで靴磨き


ちなみに

シュークリームは食べる方ではありません。そもそも食べる方のシュークリームは日本語であり、英国だとプロフィトロール、その他の英語圏だとクリーム・パフ、フランスだとシュー・ア・ラ・クレームだそうです。シュークリームは靴クリームのことを指します。


革は水に弱い?

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革は水に濡れてはいけないと思っていませんか?


これは半分は本当ですが、半分は迷信?嘘?思い込み?です。


どういうこと?って思いますよね。


はい、ご説明します。 


まず、革には適量の油分と適量の水分が必要です。


また、革の中に水分をとどめておくのも油分の働きです。

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この両方が抜けると革がパサパサになりヒビ割れやすくなります。

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相容れないようでいて実は持ちつ持たれつなんです。



油分も水分も放っておいても少しずつ気化して抜けていきますが、特に水分が蒸発する時に一緒に抜けてしまいます。


まずここまで読んで「ん?」と思われた方もいらっしゃるかと。

油分は革の中に水分をとどめておく働きがあるのに、水分が蒸発する時に一緒に抜ける?矛盾してない?と。

これは必要以上の水分が入った場合ということなんです。

あくまでも油分がとどめている水分量は革に適量な分だけです。



適量以上の水分を吸う余分な水分と共に油分が蒸発水分をとどめておく油分が減る保てる水分量も減る保てる以上の水分を吸う


これの繰り返しで革がパサパサになってしまうのです。



なので革は水に弱いと思われている理由はここにあるんですね。

ですが、実際にはケアをすればさほど怖くはないです。

なにせ当店、革地屋のクリーニングは水洗いですから。

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実際に私はクリーニングをして10年以上、ヒビ割れ1つ無く綺麗な状態で履いている靴が何足もあります。



では、その余分な水分はどこから来るのか。

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日常で皆様が気にしなくてはいけない水分は雨だけではありません。

体から出る汗も半日も履いていれば十分な量になります。人が1日に足から出す汗の量は平均200mlです。なんとコップ一杯分!靴はすごく汗を吸っています。

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雨ほどではないと思っているかもしれませんが、この事実を知ってしまうとそうも言ってられません。これだけの量を吸っているとなると、その汗が蒸発するときにも大事な油もやはり道連れです。


 雨の日を避ければ良いというわけではなくなってきますね。


ではどうすれば良いのか。


それが日々のメンテナンスですね。

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潤いを保つために雨の後だけでなく定期的な靴磨きが必要なのです。靴クリームの中には簡単に言うと、油分と水分と光らせるためのロウと栄養が入っております。ただ光らせるためだけの磨きではないのです。


磨きの順序にそってポイントを紹介します。


①ホコリを馬毛ブラシではらう。

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汚れはクリーナーを布に付けて拭き取る。

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*クリーナーはメーカーによって特徴がありますが、それはクリームに違いがあるからです。使うメーカーを統一するか、いくつかのメーカーのクリームを使うようでしたら、クリーナーは日本の「コロンブス」というメーカーの「ブートブラック」か、「モゥブレイ」というメーカーの「ステインリムーバー」が使い勝手がいいと思います。

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②クリームを塗る

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*クリーム内の全ての成分を靴に塗るには、できればブラシを使いたいです。布を使うと油や栄養が布に染み込んでしまいます。また、細かい部分にまでクリームを塗り込むこともできるからです。


③ブラッシング

豚毛ブラシで付き過ぎた余計なクリームをとり、均一に伸ばすためにブラッシングします。

*以前書いた日頃のメンテナンスで「34回履いたら1回磨き、その間は帰宅してホコリをはらうだけ」としましたが、ホコリはらいの後でこのブラシでササっとブラッシングするだけでも結構光ります。付き過ぎた余計なクリームはブラシに付いているからです。


④乾拭き

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布で乾拭きするとさらに光ります。また、パンツの裾に汚れが付きにくくなります。




また別の機会にクリームやクリーナーなどの特徴も書きたいと思います。


正しいメンテナンスで快適な革靴ライフを送りましょう。

革靴を長く愛でる

長く愛用できることは良いことですが、

決してボロボロのまま履き続けるということではございません。


前回お話ししたように「新品より良くする」が目標ですから。

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画像は13年履いた3万円の革靴。





では、どうすれば良いか。


大きく分けて2つに分けて考えます。


①修理ができるソールとヒール


②修理に限界があるか、もしくは修理できるけど見た目に影響がでる可能性があるアッパーおよびライニング。



ソールとヒールは減ってからでも直すことができます。

早めに修理すれば見た目に影響がでないことがほとんどです。

修理できないものはほぼ無いと言えるでしょう。

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履く前に補強しておくこともできます。

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それに対しアッパーとライニングは傷まないように「予防」していくことが肝心です。

これは履き方とメンテナンスで。




それではこれを踏まえてここからが本題です。


日々のメンテナンスは完璧にやろうとしたら手間も時間もお金もかかりますので、とりあえず今回は

「ここまでやれれば」というところまでの紹介です。


①ローテーション制の導入

ご存知の方も多いと思いますが、靴は3足以上を履きまわして中2日は休ませる。

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汗をたくさん吸っていますので乾かす時間が2日は必要です。

連続で履くと乾く時が無い

雑菌が繁殖します。

革が傷みますし、臭いの原因にもなります。


②足を入れる時

必ず紐をほどいて靴ベラを使って履く。踵に隙間ができない位置に足を置いて紐をしっかり締める。

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毎日のひと手間

皆様、シューキーパーはお持ちですか?

できれば靴の数だけ用意したいところ。

プラスチック製でも無いよりいいです。

11000円くらいで半永久的に使えます。


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上の形状をお勧めいたします。

下の形状ですと靴に負荷が掛かり、型崩れを起こします。

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さらにできれば

レッドシダーという木を使ったものをその中に1つでも用意する。

こちらは3000円くらいから。

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木製というだけで除湿効果がありますし、その中でも独特な臭いのするレッドシダー(またはシダーウッド)という木は殺菌効果があります。


その日に履いた靴は木製キーパーで湿気を取り、順次翌日に履いた靴に入れ替えをしていきます。

休日に陰干しをして木が吸った湿気を乾燥させましょう。


3〜5回履いたら1回靴磨き


ブラシとクリーナー、クリームを使って磨くのは目安として3〜5回履いたらでもいいです。

結構時間がかかりますので。

その間は帰宅したところでホコリ落としのブラッシングをササっと。



ここから先はプロにお任せいただくか、革靴の扱いにかなり慣れてきたらチャレンジするメンテナンスとして、年一回くらい丸洗いのクリーニングで革の中まで除菌をするとさらに長持ちします。

また、クリームで隠せない傷みができてしまった場合(傷や色剥げ、シミ等)につきましては傷補修や補色もできます。

お困りの際は当店へお問合せくださいませ。


メンテナンスにつきましては後日改めて詳しく書かせていただきます。

革の魅力

はじめまして!

革地屋と申します。


都内で靴やバッグ、その他革製品の修理やメンテナンスを行っております。

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こちらでは革製品について皆様に役立つ情報などを書いていきたいと思います。



それでは革の魅力について私の思うところをですね、

異論がある方もいらっしゃるかと思いますが、最後までお読みいただければ幸いです。


では、


私が思うに革とは


この世界でも数少ない

「新品より良くなる可能性」 

を秘めている素材だと思います。


生地、宝石、金属etc. いろいろありますが

長く使って新品より良い変化が起きるもの、、、



例えばアンティークの時計には独特の魅力があります。

が、それはキズや汚れも含めてファッション的(デザイン的)なものであり、素材が良い方向に変化したわけではありません。

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まあ良くなっているとすれば、革のベルトは味が出ているかもしれませんが。


洋服もそう。

ダメージが加わったデニムなど確かに私も好きですし、革と同じ「育てる感」もありますが、それはファッション的(デザイン的)な好みの問題。

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やはりダメージというだけあって素材自体が良くなるわけではない。




特に宝石の経年変化はキズでしかなくマイナスにしか働かないでしょう。



しかし、革は違います。

「艶が出る」「引き締まる」「馴染む」

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上のブーツは私が15年履いたブーツです。



でも1つ重要なことは、あくまでも「良くなる可能性」という部分です。

絶対に「良くなる」わけでは無いのです。


使い続け、メンテナンスし続けることで「良くなる」わけです。

そうです。

「良くなる」は言い換えれば「良くする」なのです。

勝手に育ってはくれません。


なので何もしないでボロボロなのと大事に使われた革の味は違います。


ワークブーツやミリタリーブーツを好きな方に多い気がするのが、全く手入れをせずボロボロになった状態を「味が出てカッコイイ」とする。

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それは味じゃないでしょ、と思う。


このボロボロのワークブーツについては前述したダメージのあるデニムやアンティークの時計と同じでファッション的な好みの違いが出ます。


でも味が出ている革は素材自体の艶が増して素材自体が新品より良くなっている。そこに好みは介在しない。


その味を育てるには日々のメンテナンスで長く使うことです。


日々のメンテナンスは

①表面の汚れを落とす

②クリームを塗って磨き。

③定期的に革の中まで洗って除菌を行うクリーニング。

傷んだ時には修理。


長く使うことでしか手にすることができない「価値」を生み出しましょう。

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これは20年モノ!


これからメンテナンスやお役立ち情報などを提供していきたいと思いますので今後ともよろしくお願いいたします。





ちなみに、その他の良くなる可能性を秘めている素材は一部の木と、一部の金属。

木はアジが出て新品より艶が増している家具などがありますね。

また、金属の中では銀、銅、真鍮あたりでしょうか。開花堂の茶筒なんて良いですね。