革は水に弱い?
革は水に濡れてはいけないと思っていませんか?
これは半分は本当ですが、半分は迷信?嘘?思い込み?です。
どういうこと?って思いますよね。
はい、ご説明します。
まず、革には適量の油分と適量の水分が必要です。
また、革の中に水分をとどめておくのも油分の働きです。
この両方が抜けると革がパサパサになりヒビ割れやすくなります。
相容れないようでいて実は持ちつ持たれつなんです。
油分も水分も放っておいても少しずつ気化して抜けていきますが、特に水分が蒸発する時に一緒に抜けてしまいます。
まずここまで読んで「ん?」と思われた方もいらっしゃるかと。
油分は革の中に水分をとどめておく働きがあるのに、水分が蒸発する時に一緒に抜ける?矛盾してない?と。
これは必要以上の水分が入った場合ということなんです。
あくまでも油分がとどめている水分量は革に適量な分だけです。
適量以上の水分を吸う→余分な水分と共に油分が蒸発→水分をとどめておく油分が減る→保てる水分量も減る→保てる以上の水分を吸う
これの繰り返しで革がパサパサになってしまうのです。
なので革は水に弱いと思われている理由はここにあるんですね。
ですが、実際にはケアをすればさほど怖くはないです。
なにせ当店、革地屋のクリーニングは水洗いですから。
実際に私はクリーニングをして10年以上、ヒビ割れ1つ無く綺麗な状態で履いている靴が何足もあります。
では、その余分な水分はどこから来るのか。
日常で皆様が気にしなくてはいけない水分は雨だけではありません。
体から出る汗も半日も履いていれば十分な量になります。人が1日に足から出す汗の量は平均200mlです。なんとコップ一杯分!靴はすごく汗を吸っています。
雨ほどではないと思っているかもしれませんが、この事実を知ってしまうとそうも言ってられません。これだけの量を吸っているとなると、その汗が蒸発するときにも大事な油もやはり道連れです。
雨の日を避ければ良いというわけではなくなってきますね。
ではどうすれば良いのか。
それが日々のメンテナンスですね。
潤いを保つために雨の後だけでなく定期的な靴磨きが必要なのです。靴クリームの中には簡単に言うと、油分と水分と光らせるためのロウと栄養が入っております。ただ光らせるためだけの磨きではないのです。
磨きの順序にそってポイントを紹介します。
①ホコリを馬毛ブラシではらう。
汚れはクリーナーを布に付けて拭き取る。
*クリーナーはメーカーによって特徴がありますが、それはクリームに違いがあるからです。使うメーカーを統一するか、いくつかのメーカーのクリームを使うようでしたら、クリーナーは日本の「コロンブス」というメーカーの「ブートブラック」か、「モゥブレイ」というメーカーの「ステインリムーバー」が使い勝手がいいと思います。
②クリームを塗る
*クリーム内の全ての成分を靴に塗るには、できればブラシを使いたいです。布を使うと油や栄養が布に染み込んでしまいます。また、細かい部分にまでクリームを塗り込むこともできるからです。
③ブラッシング
豚毛ブラシで付き過ぎた余計なクリームをとり、均一に伸ばすためにブラッシングします。
*以前書いた日頃のメンテナンスで「3~4回履いたら1回磨き、その間は帰宅してホコリをはらうだけ」としましたが、ホコリはらいの後でこのブラシでササっとブラッシングするだけでも結構光ります。付き過ぎた余計なクリームはブラシに付いているからです。
④乾拭き
布で乾拭きするとさらに光ります。また、パンツの裾に汚れが付きにくくなります。
また別の機会にクリームやクリーナーなどの特徴も書きたいと思います。
正しいメンテナンスで快適な革靴ライフを送りましょう。